練習場に来れなくなりました。(Nさん)

ご相談内容

こんにちは。イップスの本を読んで知りメールさせてもらいました。

私は器械体操、指導者をしています。

1人の小学生が練習場に来れなくなりました。

それは、試合後からです。

試合前に怪我をしてしまい思うような演技ができないけど、本人に聞いたところそれでも出たいと言っていたので出場させました。技を落として演技をし何とか最後までやり切りました!しかし、結果は年下の子にも負け強化選手にも選ばれず、泣いていました。その日から練習場に来れなくなりました。ドアの前までお母さんと来ても入れない状態です。今1ヶ月それが続いています。その子は、試合で思うように演技ができなかったりしたらいつも泣いているような子でした。

何度も話をし、体操がやりたいと言ってくれるので一緒に入ったり誰もいない時に入ったりとチャレンジしているのですが、なかなか練習するまでたどり着きません。どうしたらよいのでしょうか?

お答え

はじめまして。

ご相談ありがとうございます。

練習に来られない本人にとっても辛い状況の中ではありますが、それ以上に、指導者の立場としての責任から、悩まれているのではないかと感じられます。

相談していただいたこともそれだけ思いの強いことがあらわれているのかも知れませんね。

詳しいことにつきましては、実際にお話を聞いてみないことには判断しかねますが、試合で思うような結果が残せなかったことは練習に来れなくなった要因の1つではあるかと思います。

もしかすると、本人にとって、現実から目を背けたくなるほど、逃げ出したいと感じてしまうほどに辛い出来事だったのかもしれませんね。

しかしながら、それ以外にも本人にとって器械体操に向き合いたくない理由があったり、現状に対して我慢しているものが積み重なっていたのではないかと思われます。

例えば、本気で体操に取り組む中で思うような結果に結びつかないことや怪我などから焦りへとつながっていたり、ご両親や指導者の方、身近なチームメイトとの関係の中で何か悩みを抱えていたり、疲れを感じていたのかもしれません。

そのような悩みや不安、我慢、疲れの積み重ねの中で受け容れたくないような試合での結果がきっかけとなり重なって、練習に来られないという現状へとつながっているのではないかと思われます。

普段からうまくいかないことに対して泣いていたことは、できない辛さだけでなく、もしかすると、周囲の方に「わかってもらいたい」と理解してもらえずにいるものが積み重なり溢れ出してしまっていたのかもしれませんね。

また、本人が口では「体操をやりたい」「試合に出たい」と言っても、本心ではやりたいくないと感じている可能性もございます。

例えば、体操をやることで両親や指導者の方が喜んでくれたり、その方がよく思ってくれるからと、「やりたい」のではなく「やったほうがいい」と感じているのかもしれません。

怪我をしながらでも試合に出たいと言った言葉には「期待に応えたい」「認めてもらいたい」といった思いも含まれていたのかもしれませんね。

小学生という年頃であれば、自分の感情に気づけずに、両親や指導者の方など大人の方に喜んでもらえること、褒めてもらえることを素直に優先してしまうこともあっても当然なことではないかと思います。

しかしながら、どこかでそのような義務感を感じている場合には、頭では練習をしなければと思っていても気持ちも体もついてこず、本来の能力も発揮しにくくなってしまいます。

本当に向上心に溢れ、本心からやりたいことをやる時には、心がワクワクし勝手に身体が動くものです。

もしかすると、練習ができないことには本人の中でそのような葛藤があるのかもしれませんね。

指導者の立場として、本人に対してどうすればよいかという点につきまして、無理に体操に取り組ませたり、あえて「やらなくていい」というのではなく、「どちらでも選んでいい」というスタンスでいてあげることが大切ではないかと思います。

本人が心からやりたいと思えていないのに無理に取り組ませることは、心が反発しますます器械体操へ取り組むことへの抵抗となってしまう可能性もございます。

また、反対に「やらなくていいよ」というと、場合によっては「必要とされていない」と受け取ってしまう恐れがあったり、逆に意識させてしまうことによって余計に練習に行きにくくなってしまう場合もございます。

今は本人が自分がどうしていきたいかに迷っているタイミングなのではないかと思われます。

そのため、一時的にやりたくないと感じていても、本人が望むように休ませてあげたり、

一度離れてみることで本当に体操が好きである気持ちに気付けたり、本来の楽しさを思い出し、心から「やりたい」と思えるようにもなるのではないかと思います。

また、本人の意思を尊重することで逆に、「やっぱりやりたくない」と器械体操から離れてしまうこともあるかもしれません。

しかし、それは決して悪いことではなく、本人にとっては自分が本当にやりたいことに

気づき、新しい一歩を踏み出す成長のきっかけではないかと思います。

指導者として本人の競技人生に寄り添いながら、信じてあげることが一番の手助けとなるのではないかと思います。

もしお辛い状況が続くようでしたら、本人も来られれば一番ではありますが、Nさんだけでも当所へ一度お越しになられてみてはいかがでしょうか。

辛い現状を乗り越えるお力になれれば幸いです。